Case #83 - 今まで大変だったけど、一人でかかえず私とその問題を共有してください。


アデルは政府機関のカスタマーサービスセンターで20年間働いていて、お客さんからの評判は良かったし、自分の仕事もうまくこなしていたが、仕事以外ではあまり社交的ではなかったと話してくれた。同僚は彼女の文句を言っていたし、どこにいってもなかなか友達ができなかった。彼女は人との繋がりを求めていたが、ひとりぼっちで、友達もわずかしかいなく、なかなか前へ進むことができなかった。 彼女はまわりの人が自分の努力を認めてくれず、彼女のことを拒否し、また自分自信の存在が嫌になってきたと何度も話した。 私は彼女の話を聞くうちにだんだんといらいらがつのって来た。また彼女に対し優しさや思いやりではなく、彼女のことを否定し、彼女から逃げてしまいたい気持ちになってしまった。そのため私は落ち着きがなく、居心地が悪くなった。 そして私は彼女に「アデルさん、今あなたのしている問題への対処法はうまくセラピーへとつなげることができていない気がします。私はあなたの話を聞くなかで、あなたに近づくのではなく心が遠ざかっている気がします。私は自分がいらだって、あなたの話を聞きたくなくなってしまっています。お願いですから、『物事の話をする』のをやめて、私と一緒に今現在をみつめてくださいませんか。」と言った。 彼女は話をやめたが、とても緊張した様子で私と目を合わせなかった(彼女は話しをしている最中も、始終部屋を見回していた)し、悲嘆に暮れているようだったが、彼女の「悲嘆」は私が共感できるものではなかった。 そして、私は力強い声で彼女に言った。「アデルさん、あなたはほんとうに大変な人生を送っています。あなたは人とつながっていなく、私とのつながりさえも、今断とうとしています。お願いですから、今ある人生と向き合い、私の目を見て、私と心のつながりをもってください。わたしはそうする心の準備ができていますが、あなた自身にもそうしてもらわないとお互い認めうことができません。」 彼女は最初はそれを否定したので、私は話をするのをやめるようお願いした。今は、彼女は自分が悲劇のヒロインであるストーリーしか見えなかったので、彼女の注意を十分にひく必要があったからだ。 彼女は話をやめ、恐る恐る私を見た。私は彼女に優しく話しかけ、彼女との心のつながりがだんだんと築かれていくのを感じていることを伝え、彼女にもそうするよう促した。最初は難しかったが、彼女は徐々に私との心のつながりを持ち始めることができた。そして、彼女が今ある人生を見つめはじめるにつれ、私の心もだんだん柔らかくなり、そうなっていることを彼女に伝えた。また、今彼女の人生でどのようなことが起こっているかにも関わらず、私は今彼女と心がつながっていて、彼女を支えるためここにいるということも伝えた。彼女は私の言葉をゆっくりと受け入れたが、妙なことにそれを受け入れるのもしぶしぶとだった。彼女のように、ある人々は誰かからの助けを心底求めているのだが、自分の悲劇のストーリーにとらわれすぎて、そのような助けをなかなか受け入れることができないのだ。なので、彼らの物語にはられた「霧」を切り開いていくには多大なエネルギーと直接的な介入が必要となるのだ。



 投稿者  Steve Vinay Gunther