Case #40 - 支えが必要だけど、自立することも必要


マーサは涙をこらえながら唇を噛んでいた。私は彼女が涙をこらえていることを言うと、彼女は自分の気持ちを抑えているのだと言った。私は彼女に、深呼吸をし、今ここにいることを感じるように促すと、彼女はもっと涙がでてきた。 彼女は涙を流しながら、長く、苦しい、今までの経験を話してくれた。彼女の父親は他の都市で仕事をしていた。彼が離れている間、マーサと、母親と彼女の兄弟は小さな町へ引っ越し、マーサは母親の両親と住むことになった。しかしそこでは祖父のいじめにあった。祖父は子供達があまりうるさくすると家を追い出すと脅し、実際に何回か彼らのスーツケースを家の外に投げ出したこともあった。この事件の前にはマーサの兄弟も祖父母と住んでいたが、マーサと母親が訪問する度に祖父母はマーサに何らかの欠点を見つけ、兄弟と比べたりした。 彼女の母親はとうとう家を出て新しい場所に住み始めました。しかし、彼女は美しい女性で、彼女が働いていた店の男性達は彼女を求めてよく家に来るのでした。母親は男性達を追い払っていましたが、ある日一人の男性を家に連れ込んでしまい、彼女は浮気をし始めました。マーサは彼が家に来る時、いつも怯えていました。 そして、浮気が発見された時、母親は、彼女達が住んでいた小さなコミュニティの中で社会的に侮辱されたのでした。マーサも学校でいじめにあいました。そして、マーサの父親が戻ってきた。祖父母はマーサの母親を殴ったりし、彼女は様々な苦痛を経験し、それらがトラウマとなっていった。 マーサの話は痛みと苦しみでいっぱいだった。話をしながら彼女は私の手をにぎり、私も強く握り返した。彼女が自分の過去の話をするなか、わたしたちはそのようにして座っていた。 心理療法における物語はさまざまな種類があります。あるものは古く、死んでいて、何度も同じ話を繰り返すもので、自分の無力さを強調したり共感を得るためのものだったりします。それらのストーリーは具現化し、様々な心理療法により生き返らせ、感情を通して息を吹き返らせる必要があります。 しかし、この物語は生きていた。それは30年間ずっと解放されるのを待っており、今回のような適切な機会を通して彼女の心から流れ出てきた。 彼女が落ち着いてから、私は彼女の手を放し、彼女の隣りにただ座っていた。 マーサは、自分の人生の中で光を感じることができる経験は何度かあったことを話してくれた。それは、彼女が母親と姉妹と、パンと豆しか食べる物が無いにも関わらず、親密さがあったこと。また、彼女を支えてくれたボーイフレンドたち。特に、一番最初のボーイフレンドは様々な家族との苦痛の中にある彼女を愛し、支えてくれた。 彼女の夫も彼女を支えてくれていた。彼女は夫ととても親密な関係にあり、彼らはお互い、とても愛し合っていた。全てがよかった。しかし、結婚して20年経った今、子供達は成長し、彼女は家族関係の痛みの中で彼女の避難所となっていた職場にもう興味がなくなってきていた。 彼女は新しい方向性を探していて、個人的な成長のためにキャリアを変えようとしていました。しかし、彼女の夫は今までのようにまだ彼女の手を握っていました。彼らの関係は、夫がマーサを支えていたから両立していたのです。しかし、今彼女が独立を必要としてるなか、夫はまだマーサの手を堅く握っていました。 私は彼女に今回のセッションと彼女の夫との関係の並行性を指摘しました。彼女は人生の辛い経験を思い出す時には私を必要していた。しかし、セッションの終わりには私は彼女の手を離すことができ、彼女は私が手を握らなくても隣りに座っていれば大丈夫だった、ということを彼女に伝えました。 私は彼女の夫が、彼女が独立してこの世界へ出て行かないといけない、ということを理解できるように、そして彼の不安を取り除けるように、いくつか夫へ伝える言葉の例文を作ってあげました。また、夫が彼女を手放し、外へ出て行くことをゆるしてくれることにより、彼女が夫から必要としているサポートを得ることが出来る、というこも伝えるように促しました。それは、マーサが独立することに賛成してくれることにより、夫が彼女の意思を尊重してくれる、という「支え」でした。 今回のセッションを通してこのような決断に達することによりマーサは自分が成熟し変わっていく中で、どのように自分の人間関係を変えて行くことが出来るかを学ぶことができました。



 投稿者  Steve Vinay Gunther