Case #33 - 包み隠さず心を開く


ジェームズは一週間休みもなく働き、よく他の都市へ出張のため飛んだりしており、金曜日には疲れて家に帰ってきていた。そのため、彼はいつも家に帰ると、妻と子供達が彼を待っている「憩いの場所」を求めていた。 しかし彼の妻はトップレベルの人事マネージャーとして働いており、ほとんど家を出ていることが多かった。彼は自分の気持ちを彼女に伝えると、彼女は自分の仕事も大事だし、彼の気持ちの整理は彼女の責任では無い、と答えた。 もう結婚して何年も経っており、ジェームズ夫婦は2人とも自己成長と占星術に興味があった。ジェームズは自分はかに座で、自分の気持ちには敏感なタイプだと言っていた。 彼らはお互いを心から愛していたが、同時にけんかもよくあったのでジェームズはけんかを減らして夫婦としてもっと仲良くなりたいと思っていた。 これを聞いて私は彼らの夫婦関係をどのように仲裁したらいいのかを思いつくことができた。 わたしはジェームズに、彼の妻がして欲しいこと、ジェームズが自分にして欲しいと思っているように、妻が夫にして欲しいことはどのようなことがあるか、と聞いてみた。その問いに対し、彼は妻が仕事でのプレゼンをする時に、そのことを彼に話し彼の理解を得、彼女の仕事を認めて欲しいと思っていることを私に話してくれた。 私は彼に他にも何かないか聞いたところ、彼は妻が(大体は自己成長に関する)読書をする際に、彼にも読んで一緒に本のことを話したいと思っている、と教えてくれた。 私はジェームズに彼が妻の望んでいることをしているか聞いたところ、彼は「ある程度やっているけど、彼女が望んでいるほどはしていない」と答えた。 そのため、私はまずジェームズが奥さんの望んでいることを真剣に受け止め、それらを誠心誠意をもって行動にうつすよう勧めた。 まずは、これらの事をある程度の期間行ってから、ジェームズにとって妻が金曜日家にいることがどれほど大切なのか、彼の切実な想いを妻に伝えるようすすめた。 私は自分の体験を例として挙げた。 私が子供のころ、私の家では誕生日というのはとても大切な日として祝われていた。しかし私の妻はほとんど祝ってもらうことが無かった。しかも、彼女の姉妹は祝ってもらえたのに彼女の誕生日は忘れられていた、ということもあった。 だから私の妻は「誕生日」というものに対しあまり良い感情を抱いていなく、自分の誕生日のお祝いはこじんまりとしたものが好きだった。 しかし私は誕生日は「自分が主役」と思っていたし、そのように他の人にも思って欲しかった。だから妻が私の誕生日にそのようにしてくれなかった時はとても心が傷ついた。ただ、妻は私のこの気持ちを理解することがなかなかできなかった。 - このことに対し、私が妻に伝える「切実な想い」とはこういうものになると思う。 僕は君が「誕生日」というものに対しあまり良い感情を抱いていないのをしっているし、子供のころあまり誕生日に良い経験をしていないのを良く分かっている。それでも僕の誕生日は特別な日として祝ってくれようとすごく頑張ってくれているのを知っているし、本当に感謝している。でも、たまに僕の誕生日でも君は色々な理由で気分が向かなく、自分がやりたいこと以上のことをしてくれるのが難しい時もあったと思う。君は自分の誕生日はあまり特別な日として祝われていなかったという経験から、「誕生日」という日にはあまり興味がないことも知っている。しかし、僕は自分の誕生日というものに対して、少し違う想いを持っている。僕は誕生日の日は「自分が一番」というのが普通だと思うし、もし君が気分が向かなくても、一年のうちその日だけ、特別な日として扱ってくれると凄く嬉しい。そうしてくれると嬉しいし、君が無理をしてでも特別な日としてくれようとしているのを分かっているから、尚更嬉しいと思う。君にとってこの話は少し重いのが分かっているから、このことを話すのは僕にとっても難しいことだ。でも、君がこのことについて考えてくれたら嬉しいと思うし、少し考えてからまた話したかったら、今度また話そう。 -- 私が自分の実体験から語ることにより、ジェームズに具体的に、どう奥さんに自分の思いを伝えることができるのか、例を示すことができた。 ゲシュタルト法は人との関係をより深め、正直に人と向き合い、人とのつながりと信頼感をより良くしていけるようにする心理学方法だ。既に基本的はコミュニケーション方法を分かっているクライアントに対し、このように対応するのを、一つの例して挙げている。



 投稿者  Steve Vinay Gunther